伝統ある幼稚園を使いながら建て替え
大きく3棟からなる園舎のうち、職員室、保育室、課外学習室などが入る建物の建て替えである。既存園舎と園庭をすべて使いながら、新園舎を建築し、引越し後に既存建物の解体、トイレフォリー、正門やバス門、園庭の整備を行った。6度の仮設エリアの盛り替えなど、およそ2年にわたる工事の中、環境が変わり続けながらも保育環境を確保し続け完成にこぎつけた。
先生たちと既存園舎の分析・設計ワークショップ
既存園の長所、短所、保育の仕方、こどもたちの遊び方、新園舎に求める環境などについて、縁の先生方とワークショップを行い、多くの意見を取り入れながら設計を進めた。保育室直結のトイレの整備や室内手洗い、外が近いこと、クラスごとに保育の特色があること、多様な課外活動や保育所まんまるとの交流など、なわて幼稚園の特色をさらに伸ばせるよう厳しい敷地条件、工事条件の中、プランニングに活かした。
園庭を近くに感じる園舎
大きくせり出した外テラスは、園庭をはじめとする屋外環境を積極的に保育に活用する年長クラスの活動を支えている。こどもたちの活動が外に飛び出し、安全に広く保育ができ、光の筒からは明るい光が漏れ出し、テラスで昼食をとるなど、内外を気持ち良く使える園舎となった。保育室と並ぶ職員室からは、園庭を一望でき、職員室内には先生たちが準備や打ち合わせをオープンに行えるスペースを設け、保育を支えている。
木のおうちが保育所まんまる
コンクリートの力強い建築に、木の家がのせられたデザインは、幼稚園と保育所が仲良く共存していることの象徴となっており、こどもたちも「木のおうちがまんまるさん」という認識をもっている。均質で無機質になりがちな園舎に、大きな白い窓枠をつけたり、一部を木の箱とすることで、保育室や場所ごとに特徴づけをすることで、こどもそれぞれの居場所を認識しやすいよう工夫した。こういったデザイン上の特徴は、こどもたちの園舎の絵にも上手に描かれている。